さらば松下政経塾

　湘南茅ヶ崎の海近く、2万平方メートルの敷地に松下政経塾がある。
　学習棟、塔、茶室、寮、食堂と施設は100人収容可能になっている。　経営の神様と言われた松下幸之助が私財70億を投じて作った理想の政治家を創るための学校だった。
　月謝を取るのではなく、毎月20万円の生活費を塾生に払っていた。
　開講時は一期23人の入塾に対して900人ほどの応募者があった。大学から政治経済学部が消えた今、そうした私塾があるのはとてもいいことだとおもった。
　政経塾出身の政治家は、国会に38人もの多くを数えた。地方議会でもエリートとして持てはやされた。
　かくて実現した民主党政権だったが、この四年でズタズタになってしまった。創業メンバーの鳩山由紀夫、小沢一郎は徹底的に排除され、純化路線と称して松下政経塾出身者を中心としたナカヨシ・グループになってしまった。財務省の傀儡と化した野田どじょう、朝礼暮改の前原誠司、野心の玄葉光一郎、それにイラ菅、鉄仮面の岡田が加わって見事に民主党を壊した。
　天下国家と向かい合うことなく、ひたすら政治ゲームにいそしんで国民から棄てられた。
09年の選挙で獲得した２９８０万票から２０００万票が逃げ出してしまった。
　公約であるマニフェストははじから無視され、増税だけにつきすすんだこんな破廉恥な政党も珍しい。
　松下政経塾は小手先の政治ゴッコを教え、最高の道徳といわれる政治を教えなかったのだろう。塾は人間をつくるべきだったのに、政治家になりたい人の肩書になってしまった。
　かくて松下政治塾今春の入塾者はわずか４人というから、さようなら民主党、さようなら松下政経塾。