かける時代から「ふりかける時代」へ

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かける時代から「ふりかける時代」へ
 調味料の世界に革命が起こっている。
 味噌、醤油、お酒、みりん等々日本料理の基本をつくる調味料が、まったく表情を変えて登場しつつある。
 「粉むらさき」
 食卓に必ずあった醤油注ぎともお別れになるかもしれない。
 醤油注ぎは注ぎ口の形状がわるいとお尻に回って始末が悪い。瀬戸物屋の店頭で売っている安物にはまずそうしたことはないのだが、奮発して求めた作家ものの醤油注ぎにママそうした不都合があった。
 もろみ粕を粉末にしたものから作ったのが、「粉むらさき」だというから、もう崎陽軒の懐かしい醤油注ぎも
お役御免となるのだろう。
 コブクロに入った粉醤油がそえてある。醤油に限らず、ソースもあるからとんかつ弁当のソース坊やもなくなり、ソースの粉が添えられてこぼれる不安はなくなるのだ。
 「ミソルト」
 仙台みそのパウダーがそれである。シチューにかけてよし、ラーメンにふりかけてもいける。本来の味噌味よりも深みのある味噌の味が楽しめる。
 八丁味噌、角久の赤味噌粉末は絶品。八丁味噌のもっている奥行のある味をパラパラとふりかけるだけであじわえる、いままでの信州味噌はあわてるにちがいない。手のひらにパラパラとふって味見をすれば、赤味噌の素晴らしさがたちまちに広がるのだ。
 水煮した野菜や魚類にひとふりしたらたちまちにして味噌煮のうまみにかわる。味噌樽もいらなくなるし、味噌臭さもなくなって、日本の台処の香りもだいぶ変わる。
 「かける山葵」
 アヒージョ・タイプのわさびのオイルソースだといわれるが、オロシガネもチューブもいらない。パスタにかけると絶妙なわさびパスタが出来上がる。から揚げによし、豆腐によし、わさびはおろすものにあらず、ひとふりの魔法である。
 以上のほか、「ふりかけるポンズ」あり、「ゴマポン」ありで調味料は「かける時代」から「ふりかける時代」に突入したと謳っている。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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