いい加減な情報サイト

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いい加減な情報サイト
  特定のテーマごとに情報を収集して、検索閲覧を楽にしたキュレーション・サイトが、次々と閉鎖され閲覧中止になっている。
 DeNAはWELQウェルクなる医療情報サイト、MERYメリーというファション情報サイトなど、運営している10の情報サイトの総てをを中止すると発表した。内容のいい加減さや、他サイトからの無断転用をこれ以上つづけると裁判対策に追われるという判断があったようだ。
 サイバーエージェントも、情報サイトSpotlightスポットライトを取り止めた。
 リクルートもギャザリーの健康関連記事を中心に16000の記事を破棄した。
 内容を信ずるも信じないも読者の責任だから、という名目のもとに、味噌クソ一緒に垂れ流していたIT業界の一角にヒビがはいったのだ。
 かって若い起業家に誘われ、無理やりサイトの制作現状に連れていかれたことがあった。
 六本木ヒルズの中心点六本木タワーの高層階だった。その頃六本木タワーにオフィスをもつのは、若い起業家にとって成功の証しだった。
 ビルは当然のごとくカッコいいし、オフィスの入口もとてもアメリカンなカッコ良さにあふれていた。が一歩、仕事場にはいると空気は一変した。見渡す限り並んだパソコンはひとつひとつパネルに囲われ、そこに働く青年たちはこの世のものとは思われなかった。汚い茶髪の見本市のような、世捨て人のあつまりのごとく、あらゆるアウトロウなファションがあふれ、テンデバラバラに行儀悪く仕事をしていたのだ。
 この世界から発信されるものが、世界をリードしていくとは到底信じられなかった。
 経営者は、若い社員の個性をのばしてやるには自由を与えなければならない、といい労働条件はもとより職場規律も、全く存在しなかったのではなかろうか。
 キュレーション・サイトのモラルが問われている今、果たしてあのIT企業は生きながらえているだろうか。
ネットメディアもより責任とモラルのある経営を目指さないと、明日は消えてしまうかもしれない。
 不道徳な情報サイトを次から次へと立ち上げ、若い起業家ともてはやすのは、劇場型社会の無責任なメディアなのだ。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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