あきれた「代理お見合い会」

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 北は札幌から東京、名古屋、大阪、南は福岡まで、当人不在で親同士だけのお見合い会が開かれている、と聞いて一瞬固まってしまった。親が悪いのか、子供が悪いのか、両方悪いのか、それとも問題は社会にあるのか、とにかくあきれた事象というほかない。
 親たちは息子や娘の写真や身上書を携え、一流ホテルで開かれる「代理見合いの会」にいそいそと出掛ける。1万円はらって親同士が見合いをする。受付では今日の参加者の息子・娘の年齢、肩書などのプリントが渡される。写真はないので、容貌・容姿はわからない。親たちはマーカーペンを手に名簿にチェックをいれる。
 やがて開会となると型どおりの挨拶ののち、娘側と息子側に分かれ、娘をもつ親たちは着席のまま、息子側の親たちのプロポーズを受ける。親といってもおおかたは母親は、息子の身上書と写真を手にめざす娘親のテーブルにプロポーズに訪れる。時間をとって逆のパターンで進められる。
 「いまの子供たちは可哀そうです。20代は出会いがあっても収入が少なくて結婚できません。ようやく収入も安定してきた30代には、仕事が忙しくて出会いも少なくやっぱり結婚できません。」結婚したければ、職場でも仲間でもいくらでもいると思われるが、親たちはそう考えない。「うちの子は親思いで優しい子なんですけど、消極的で…」典型的なマザコンという奴だ。元気なイマドキの娘だったら、まずそんな男は避ける。愛にあふれたママ自身がそうした息子をつくったということに、気がつかないというところが凄い。
 息子の嫁には20代後半から30代前半の初婚を希望し、娘の相手には離婚経験があっても子なし高学歴ならばよしとする親たちのお見合い会は、今日も何処かで開かれている。よく考えてみると、フェイス・ブックのアナログ版、結婚相手も友人も直接あって決めるべきというのは、もう古いのかな。人間はとうとう商品カタログ並になつてしまった。


コメント

1件のフィードバック

  1. 峠の地蔵のアバター
    峠の地蔵

    人間は、どんどん動物じゃ無くなっていくのだろうか
    鹿やケモノは、どんどん増えているのに・・
    オスとメスの、動物のギラギラは・・????

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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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