江戸のナンセンス歌舞伎の上位を占める狂言のひとつに「毛抜」がある。
雷神不動北山桜の三幕目として描かれた。
道具立ては磁石と毛抜、嫁入り前の姫がなんとか予定している婿殿から逃れたい為、髪が逆立つ病にかかったという架空の設定が軸になっている。それを確かめに来た役どころが粂寺弾正、この男 腰元若衆と桃色遊びをしながら、毛抜の謎の推理もするという重層的な性格の役どころ。
一筋縄ではいかない難役のため、1850年以来上演されたことがなかった。
1909年これに眼をつけたのが、二代目左團次、岡鬼太郎の加筆をえて今日に伝わる「毛抜」を復活した。
というより左團次がすべての型、演出を創案した。
奇想天外な設定のなかに難しい見得や色気、知的センスを散りばめた歌舞伎役者にとっての難役である。
この難しい訳処を9才の子供の襲名にやらせようというトンデモナイ企画がすすんでいる。
9才の子供には絶対に演じることのできない狂言である。子供には解釈できない。
歌舞伎界の常識では考えられない。 外郎売の口上ぐらいが適当なのだ。
何も判らないオバカな観客相手に考えたのだろうが、こんな芝居に高い入場料をとられたのではたまらない。観客が可哀そうだ。
勧進元は詐欺に加担しているようなものである。
「毛抜」と襲名子供芝居
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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