「日本大好き本」のブームと実態

by

in

「日本大好き本」のブームと実態
 いっときの能力開発本ブームも去り、いま本屋の店頭で力を発揮しているのは、「日本大好き」本のブームだそうだ。
 世界が日本に夢中なわけ(宝島社)
 外国人が愛する美しすぎる日本(大和書房)
 やっぱりすごいよ、日本人(あさ出版)
 だから日本は世界から尊敬される(小学館)
 ドイツ大使も納得した、日本が世界で愛される理由(幻冬舎)  …等など
 ついこの間には、日本ダメ本のブームがあった。
 自信がない。報われない。仕事もない。異性もいない。生きていてもなにもない。先進国のなかでもっとも自殺が多いということからも、この日本の現状に対する絶望的な心境はよみとれる。
 それがどうしたことかオリンピックが東京に決まったというだけで、日本大好きブームが始まった。
 テレビ番組の「YOUは何しに日本へ」など空港で来日外人を捉えて密着する番組だが、未知なる外国人が日本人の親切にふれて、喜べば喜ぶほどに視聴率が上がるという仕掛けだ。
 外国人に褒められるとやたら嬉しくなるという、典型的な田舎者の心情に支配されているのが日本人なのだろう。赤ん坊に英語を習わせたい母親も、じつは外国が素晴らしいのコンプレックスに支配されていることの裏返しなのだ。
 もういい加減大人になって、この国にふさわしいこの国らしい、外圧に惑わされない国創りが始まってもいい頃ではないだろうか。


コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


カテゴリー


月別アーカイブ