「日本人の常識、世界の非常識」という言い方がある。
ところがこの場合の日本人の常識は、かつての世界の常識を誰かが輸入したに過ぎないという、元は世界の常識だつたという例がままある。その後世界の常識はすっかり変わったのに、日本人だけは牢固に守っている。
良い側面もあるが、何故どうしてという、という困ったこともある。
最近おもうのは、なぜ日本の美術館はいちように「撮影禁止」なのか、大変に不思議なことだ。
「触るな」「触らないでください」と言うのは納得できる。ところが石の造形物に「撮影禁止」立体を一面から
撮影したところでどうなるものでもない。
禁止、禁止と言っているから、だんだん客足が遠のいて閑古鳥のミュージアムが増えるのだ。
このことに気がついたのがニューヨークのメトロポリタン美術館、数年前から携帯もスマホもどうぞ使って下さい、みんなが持っているものに対して禁止したって負けるに決まっている、それよりも名画とともに寫したマイ・フォトを、SNSやブログにアップしてくれたほうが宣伝にもなるし、皆が興味をもってくれることで客足も伸びる。スマホ大歓迎に切り替えたのだ。
パリのルーブル美術館なども、昔から名画の隣にイーゼルをたてて、油絵を写している画学生がいた。画家を育てるには、名画のコピーこそが第一歩という考え方があるのだ。フランス歴史美術館やカルナバレ博物館などでも「撮影自由」というところは結構ある。美術館は撮影禁止という常識は、いまや世界の非常識になりつつあるのだ。
軽井沢あたりの相続逃れの美術館でも、結構仰々しく「撮影禁止」などと書いてある。
たいした作品でもないのに、とにかく美術は撮影禁止というのは、原理原則を考えない、私のアドレスはブラバシーというなかみからつぽの習慣と変わらない。
「撮影禁止」という非常識
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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