「孤独のグルメ」のファンになった

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 曖昧な台風のお蔭ですつかり予定が狂ってしまった。諦めて夏休みスペシャルはDVD鑑賞と決めた。
といっても高尚なものではない。前にスタッフから進められて店晒しになっていたテレビ東京の「孤独のグルメ」season2である。グルメとあるからは当然食べ物の番組だろう。
 料理研究家と称するカルイ文化人がウンチクを語らないのが良かった。デブのお笑いが「マイウー!」などと叫ばないのもよかった。若い女の子が群れて「ヤワラカーイ」とか「アマーイ」とか言わないのもとてもよかった。
 如何にもの貧乏サラリーマンが、たまさか町の路地裏で食べる一人飯ガテーマだ。テレビ東京の貧しさにして、初めて実現したグルメのドラマ仕立てだつた。ドラマ仕立てといったのは、ドラマではないからだ。既成のドラマ作法はここにはない。たんたんと描写されるだけで、無理やりの演出が見えないのが、この作品の良さだ。ドラマではない、ドキュメンタリーでもない、あいまいにしてリアルなグルメ番組なのだ。
 趣味は、散歩と釣りという主演の松重豊がいい。生きるカロリーのない貧乏サラリーマンにぴったりだ。身長188㎝。こういうタイプの人は、なかなか役者を志望しないものだが、どうしたことかこの人は役者になつた。靴のサイズ28センチ。不思議なリアリティを持っていて、たまに脇に名のある俳優がでてくると返ってそちらのウソが目立つ。
 選ばれた食堂の所在地もなかなかだ。白楽・六角橋、京成小岩、銚子・飯岡、両国と貧乏サラリーマンの聖地みたいな場所ばかりが登場する。
 取り上げられたメニューは、ジャンボ・ハンバーグ、ハムポテトサラダ、西口カレーパン、豚肉ニンニクたれかけ+ごはん、マーボー豆腐などなど、井の頭さんにぴつたりの一人飯ばかり。
 久しぶりにテレビにふさわしいグルメ番組を見た。


コメント

1件のフィードバック

  1. 「井の頭さん」って、さんづけするのに賛同します!
    ゴローさんではなく、やっぱり「井の頭さん」ですね!
    私も、群馬のブラジルのお店は是非行きたいお店なのです。

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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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