「一人っ子政策」の重いツケ

by

in

「一人っ子政策」の重いツケ
 人類の歴史上、神の領域である出産に政治が介入したのは、共産中国以外にその例をみない。
 35年も続いた「一人っ子政策」が今年の中央委員会第五回全体会議でようやく廃止が決定された。
 中国の人々は35年ぶりに自由に子供が産めるようになった。ただし二人まで。三人目を作ったら豚箱行である。
 すでに習近平政権は国内の労働年齢人口が減少に転じたことを受け、2013年には夫婦いずれかが一人っ子の場合、第二子の出産を認めるという緩和策を打ち出していた。この条件に該当する夫婦は九千万組もいたので、当然のごとく一千万人の出生を期待した。ところが14年に数えたところ四十七万人しか増えていなかった。
 長い間制限され一人っ子の生活環境に慣れてしまった夫婦が、それでは子作りをしよう、という気にならなかった。
 北京や上海といった大都市圏では、住宅は高騰し教育費も馬鹿にならない。いままで政府の方針で我慢してきたのだから、二人目には補助金をつけろ、養育費を全額もってくれれば子供をつくってもいい、という訳だ。
 長期の一人っ子政策で、男性人口は女性より三千四百万人も上回っており、世界平均の三倍といういびつな男女人口比になつている。
 高齢化と労働人口の減少という思いもよらない現実に、滑り落ちる経済の問題というダブルパンチをくらって、習近平はあせっている。
 人口問題は緩和すれば何とでもなると多寡を括っていたが、大間違いだった。
 ネツト上の調査でも第二子を産みたいと答えたのは、僅か33パーセント、中国の人口ボーナスによつてもたらされていた繁栄は、いま崩壊の危機に直面している。


コメント

1件のフィードバック

  1. 昨日は「宋家の三姉妹」という映画を見てきました。
    自分には少し難しかったです…
    歴史を良く理解していない状態で見たものですから
    子供の頃は中国の人は人民服意外は着ることなく一生を送るのかと思っていましたが
    いまや爆買いをしに日本に観光に訪れる人がいたり
    人民服は消滅しているし…
    世界を率いるつもりなら孔子の教えを少しでも取り入れていただきたいと思っている今日この頃です。
    旅先で鼻つまみ者にならない行動ができる民族になっていただきたいし、地球をこれ以上壊さないでいただきたいものです!
    あの方々には…

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


カテゴリー


月別アーカイブ