訳もなく原宿や代官山を訪れる女性たちの間でいま「リボン」が流行っていると聞いた。
決してアクセサリー、宝飾品、バック、靴など高価な小物への反発で、リボンへ関心が向いているのではないと彼女らは言っている。
が、もともと安価な幅広のカット・リボンはもとより、高価な細幅の織リボンにしてもコスパの点では抜群に優れた存在にちがいない。
リボンで自己を飾るのは、幼稚な美意識だという評論家もいるが、日本人に内在する幼さにとってリボンは絶好の装飾品足りうるのだろう。
古代ギリシャでは、女性はリボンで髪を束ね、男たちは鉢巻にした。
中世になると、男はカツラの止め帯にリボンを用い、女性はリボンで胸元を飾った。やがてロココの時代にはリボンは服からはみ出して帽子や靴の装飾として活躍するようになる。
そこからバタフライ・ボウ、ポンポン・ボウ、ウェーブ・ボウ、フレンチ・ボウ・そしてリボン、ビラなど、階層や趣味、TPOに属するリボンの文化が生まれた。
約束のリボンは絆として愛のしるしを演じてきたが、古代に於いては「魔除け」として使われ、のち「金持ち」の象徴になった。渋谷にたまる少女たちがみなリボンを付け、魔除けならぬ魔物そのものとして更に街中に広がっていくのだろう。
給料が上がらない、いつまでこの貧しさは続くんだと、國会で議論しているさなか、せめて豊かさのシンボルであるリボンが流行るとしたら、ファッションは悲しいピエロとしか言いようがない。
「リボン」が流行りだした。
コメント
1件のフィードバック
-
ごぶさたしております。
このブログで知ってから毎年
大寒のお水を汲み貯めるのが楽しみで
久しぶりに拝読させていただきました。
その日は「ハウス・オブ・グッチ」を見てきたりもしました。
若い頃は長い髪をリボンで飾るのも楽しみましたが
半世紀以上生きて自分を飾るエネルギーが枯渇してだいぶ経ち
髪を伸ばすのは献血が出来ない代わりに
ヘアドネーションでも
と伸ばしていますが、
重みに首が耐えられず短くしたい葛藤との闘いになっている今日この頃です。
いつも、こちらで色々とお勉強させていただけて頼りにしております。
時節柄ご自愛ください。
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
コメントを残す