「今年の一皿」に決まったのは「ご馳走おにぎり」、おにぎりという瑞穂の国始まって以来の国民食が公式に認められてとても嬉しい。
インバウンドの外人観光客が口を揃えて「らーめん、らーめん、おいしいよ」という片言については、いまいち喜べないものがあった。がもしもインバウンドの味覚音痴が口を極めて「ゴチソー・オニギリ、ごちそう・おにぎり」といってくれたら、これに勝るシアワセはない。ご馳走がないオニギリでも充分だし、雷門のまえで青い眼のツーリストが「シオニギリどこですか」などといっていたら、日本の食の勝利と飛び上がって喜ぶ。
戦後第一回のおにぎりブームは名古屋めしの「天むす」だったような気がする。
津の天ぷら専門店千寿のまかないに始まったといわれている。天むすはじわじわと勢力を拡大し、今では駅のホームにまで並ぶようになった。
バブルの飽食にあきた日本人が究極の食に選んだのが「おにぎり」、日本ならではのコメの美味さを伝えるのには「おにぎり」に勝るものは考えられない。
戦争中は梅干しの入ったおにぎり、または塩にぎり、あたりまえのように海苔が巻かれるようになったのは戦後の贅沢だった。丸いおにぎりだったり、三角だったり、京都へいけば俵型のおにぎりがまっていた。おにぎりは母親の心配を伝えてくれたり、恋人の早起きを知らせてくれたり、愛情だけではないコミニュケーションが潜んでいた。
今年の一皿はご馳走おにぎり、インスタ映えとかお米消費の促進と理屈がついているが、子供のころから今日まで食べても食べても飽きない日本人のスーパーフードこそが「おにぎり」だと信じている。
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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