「おくりびと」が今年のアカデミー外国映画賞を獲得、大変におめでたい。早くもハローワークに「納棺師になりたいんですけど、求人ありますか。」と電話がかかつたという。その件でしたら葬祭センターに連絡なさった方が、とバトンタッチすると「女性では少々ご無理かと…」「だって死人にメークするんだって女の方がいいじゃん」「いえ、御遺体はとても重く普段の体重の倍以上ありますので、女性では…」「なぁーんだ。男女差別じゃん」とキレまくったそうだ。
なんでもかんでも情報化して軽く考える風潮が日本中にはびこっている。映画のおかげで日本ヒューマン・セレモニー専門学校という葬祭ディレクターの養成校は応募者急増。「死」は文学、哲学、宗教の領域からファッション・ビジネスに変身し、世界第八位の年間自殺者3万人といわれる社会の現実にはあまり興味をしめさない。「おくりびと」の原作者青木神門さんは、「孤独死して一か月放置された老人を納棺したとき、蛆を掃き集めると必死に逃げる蛆に命を実感、蛆たちが光って見えた」そこにある死生観こそがこの映画の主題といえるだろう。
「おくりびと」とその後
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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