「ええじゃないか」から「ハッピー」へ 

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 世界中で静かに広がり、いまブーム直前にあるもの。
 江戸幕府末期には「ええじゃないか」と呼ばれた踊りが、日本中に大流行した。村から村へ、里から里へ、この「ええじゃないか」は不気味に広がっていった。世直しともいわれて、庶民のうっぷんを踊りに託し、貧しい日々のガス抜きともいわれた。
 いま世界中を席巻しているのは、ファレル・ウィリアムズなる人が作ったHAPPYという曲にのって踊るハッピィ・ダンスの輪…ベルリンで踊っている。パリでも踊っている。ロンドン橋の上でも踊っている。リオディジャネイロの浜でも踊っている。日本でも久保田利伸が、気志團が、フナッシーが踊っている。
 踊りの輪がどんどん増えている。エアロビクスのような、サンバのような、あるいはヒップホップのような、曲がHAPPYでさえあれば自由にリズムに乗って参加する。
 イスラムとキリストの間にある宗教戦争、貧困格差への不満、民族対立への怒り、いま世界中に散乱しているどうにもならないものへのストレスが、このハッピー・ダンすへの傾斜になっているのではないだろうか。
 1000,000万回のアクセスがファレルの原曲に集まり、幸せへの願望連鎖が広がりつつある。思考力を失った人間が感覚興奮に身を寄せて、ハッピーですか、ハッピーだよと、手をたたいている。 


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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