久しぶりの友人と食事をすることになった。
祇園一力のもてなしと吉兆の料理をめざして始めたという和風ファミレスが近頃話題になっている。群馬を中心に長野にも進出してきているというので、行かねばなるまいと出かけた。佐久の近頃できた広大なショッピング街にもあると聞き、そうした店なら伊勢崎の本店よりはかえって離れた佐久店のほうが、味チェックには適当だろうと、友人の車に陪席させていただいてめざした。
車を降りてまず驚いたのは、普通のファミレスの何倍もある店のスケール感だった。その上、近頃流行りのモダン建築ではない江戸遊郭をイメージした赤土塀の木造でかこわれていた。何も書いてない白暖簾をくぐり、庭石ずたいに玄関につく。
客数4人を押し、希望する部屋の様式を指定すると、自動で部屋名と部屋ナンバーのカードがでてきた。控えの間でしばしまつと若い案内の仲居さん登場。内装もすべて一力さん風な赤壁の廊下を案内された個室のまえには石の庭がひろがっていた。廊下の両側はすべて個室がならんでいる。カップル、家族連れ、親子三代、法事、結婚式から会社パーティまですべで対応できるというから凄い。いままでのファミレスの概念を蹴飛ばしている。
メニューを開く。うどん、そば、おにぎり、から季節の野菜、魚介類、刺身、煮物、揚げ物、鳥、肉、寿司、うなぎ、と和食のすべてにくわえるに、いわゆるイタリー・フレンチ料理、ステーキ類までないものはない。そのうえデザートもコーヒー、紅茶、ケーキ類からお汁粉までほとんどのものが用意されていた。あとは美味いか、不味いかである。
ひとりは刺身のレベルは如何とマグロ三種を、ひとりはてんぷらのレベルを、もう一人は揚げ物のレベル、と旬の牡蠣フライをオーダーした。
結果、刺身合格、てんぷら合格、フライ合格、この種の大規模店としてはすべて客の欲望を充たしてくれた。がひとつ残念なのは、米の味、がいして群馬県、長野県のコメの味はよくない。これだけは新潟、山形、秋田、に学ばなければならない。テレビではナガノマイ、ナガノマイと子供達に歌わせているが、ナガノマイは不味い。ここを超えれば「いっちょう」は凄いということになるだろう。
「いっちょう」の志にひかれて
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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